研究紹介 那須雅子 学習者のインタビュー

学習者のインタビュー

Interviews with Foreign Language Learners

 

外国語学習者の履歴や体験に関するナラティブを分析・考察しています。日本人にとっての効果的な外国語学習のあり方を特定することを目指しています。

成果発表

Achievement announcement

オーラルヒストリーによる英語学習法に関する質的研究:「音読」の効果について(2018) 

■[第7回日本国際教養学会全国大会ポスター発表,鶴見大学. 平成30年3月10日]

発表者は、オーラルヒストリーの手法を援用し、外国語学習の成功者を対象にその学習履歴や体験に関 する口述インタビューを実施し、約 40 名のデータを蓄積しました。本発表では、これらの口述記録の分析結 果に基づいて、日本人学習者にとって有効な学習法を特定するとともに、特に「音読」によって高度な 英語力を身に付けた学習者のインタビューを抽出し報告しました。

日本人の語学習得に関する質的研究:英語学習履歴のナラティブの分析と考察 (2019)

■[第72回日本英文学会中国四国支部大会口頭発表. 徳島大学. 2019年10月26日]

 第91回日本英文学会全国大会シンポジウムの「文学を通じた「実践」教育」においては、英米文学者や異分野の専門家がそれぞれの教育現場で文学を活用する実践例が披露され、人間教育の手段として「文学的語り」が秘めている幅広い可能性が示されました。一方、ナラティブ分析の手法は、文学研究に限らず、「医療」「心理」「教育」など様々な分野で独自に理論化され、実践されて大きく展開してきているところです。本研究においては、文学研究の成果としてのナラティブ分析を「非文学テキスト」の分析・考察に援用して、英語教育分野の研究に寄与することを目指しました。文学研究が社会にその成果を還元し、貢献するための試みの一端を担いたいと考えました。

 本研究は、日本人英語学習者が語る学習履歴に関するナラティブの口述記録に基づき、日本人にとって有効な外国語学習法を特定しようとするものです。高度なレベルにまで外国語を習得することに成功した約40名に対して行ったインタビューのナラティブデータ分析から得られた成果を紹介し、さらに今後の英語教育に対する示唆について考察しました。具体的には、インタビュー協力者が実践し英語学習を成功へと導いた学習法を特定し、それぞれの学習環境との関係や、その汎用性等について検討しました。

学習者のインタビュー分析

複線径路等至性モデリング(Trajectory Equifinality Modeling : TEM)を基に、学習者の履歴を時系列に描いています。等至性 (Equifinality) とは、複線径路等至性アプローチ(Trajectory Equifinality Approach: TEA)の根幹となる概念です。すなわち、「複数の異なる径路を通ったとしても同じ到達点に達する」という考え方は、語学学習にもあてはまります。高度な英語力を習得することを到達点とみなし、異なる学習経験を時間軸に描いて可視化しました。