ナラティブ研究の実践と応用

Practical Applications of Narrative Studies

現代社会への理解と貢献に向けて

How Narratives Contribute to a Deeper Understanding of Modern Society

N「ナラティブ研究」は、様々な分野・場面で語られる「語り(ナラティブ)」を対象に、その技法・芸術性や社会性等の側面から、内面的な要素を探究する学術分野です。ナラティブ分析では、語り手の経験や人生に着目し、その物語(ナラティブ)の背景を読み解いていきます。一人一人の語りを精緻に分析するその手法は、質的研究の一つとして位置づけられ、医療・教育・心理などの学問分野に貢献しています。


Researchers

研究者紹介

本WEBサイトでは、現代社会を対象にした3件のナラティブ研究を紹介しています。

Method 

研究手法について

「ナラティブ研究」では、まず一人一人の「語り(ナラティブ」」をインタビューによって収集し、そのテクスト・データを研究目的に合わせたアプローチによって分析していきます。語り及び語り手をより深く理解するために、物語論・文体論・ディスコース分析など多様なアプローチが援用されます。 

研究内容

学習者のインタビュー
外国語学習者の履歴や体験に関するナラティブを分析・考察しています。日本人にとっての効果的な外国語学習のあり方を特定することを目指しています。
アジア人材のインタビュー
アジア地域で活躍するグローバル人材のナラティブを分析・考察しています。外国語の習得プロセスからその実践までを可視化し、高い語学力を活かせる人材がどのように育成できるのかを追究しています。
外国語教育における教師・ALTのナラティブ研究
外国語教師やAssistant Language Teacher (ALT) によるナラティブの分析を通し、その教えの理論や教師としての成長の様子を探求しています。言語教師自身が内省的に授業を振り返る過程を明らかにしながら、教員研修や授業研究への貢献を目指しています。
外国語授業研究
教室でのインタラクションや学習者のナラティブの分析を通して、学びの様子を可視化し、授業研究や教材の開発を進めています。他者とのかかわりの中で、学習者の深い学びを引き出していく授業デザインを目指しています。
社会問題解決に向けた文体論の応用
ナラティブの分析手法の一つである文体論は、効率的で効果的なコミュニケーションの様式を追究する分野でもあります。社会生活は様々なコミュニケーションから成り立っており、本研究では文体論を様々な問題解決のために援用する「応用文体論」の確立を目指しています。
病の語りの分析
ナラティブ研究(文学)と科学(医療)が有機的に融合した分野の一つに、ナラティブ・メディスンがあります。患者・医療従事者間の友好的な人間関係の構築が大きな課題となっている現代社会において、患者の語り及び医師によるディスコースの分析は、今後の医療の在り方だけでなく人文学研究の社会的役割についても多くの示唆を与えてくれます。